オー・ヘンリーの《賢者の贈り物》という大変有名な短編があります。
貧しい夫婦が内緒でクリスマスプレゼントを送ろうとしました。
夫は自分の金の時計を売り、妻が欲しがっていた美しい櫛を買いました。
妻は自分の長くて美しい髪を売り、夫の金の時計につける鎖を買いました。
結局お互いのプレゼントはムダになってしまったのですが、二人仲良く暮らしました。
というのが、簡単なストーリーです。
知人に起きた賢者の贈り物
自分の知人の話が《賢者の贈り物》リアル版みたいだと感じたのでシェアします。
彼は若い頃にとんでもない荒れた生活をしていました。毎日働かずにギャンブルばかりをし、酒やドラッグに手を出し、暴力事件で逮捕されたりしていました。
そんな彼を見捨てておけないと、ある女性が彼の妻となって献身的に支えました。
ところが、彼はそんな奥さんの優しさを全く顧みず生活は荒れるばかりでした。彼は奥さんのひものようになり、その上彼女に暴力を振るう有様でした。
ところが彼がある喧嘩で瀕死の重傷を負った時に、自分のしてきことが走馬灯のように回想されて、自分がどれほど妻を悲しませてきたかを悟り悔いたのでした。
彼は奇跡的に九死に一生を得て、その後彼は劇的に更生していきました。彼はギャンブルをやめ、日々真面目に仕事をし、酒やドラッグを完全に断ち、悪い友人達と関わらなくなり、妻に優しく接するようになったそうです。
しかし、彼が良い人になればなるほど、奥さんがどんどんと精神的に不安定になっていったそうです。
そしてある日、奥さんは置き手紙を残していなくなりました。置き手紙にはこんなことが書かれていたそうです。
奥さんは悪い彼を助けることが生きがいだったけれど、もう彼はすっかり更生してしまったので自分の存在価値がなくなってしまったと感じたそうです。彼が彼女に優しくすればするほど、それがつらくて一緒にいることが出来ないと思うようになり出ていったとのことでした。
彼は奥さんのために更生してまっとうな人間になったのに、彼が悪い人のままでいたほうが奥さんにとっては幸せだったのかと思うと皮肉だなと思った次第です。